学校に心理についてのプロフェッショナルがいるのを知っていますか?
スクールカウンセラーは、生徒や教師の心の健康をサポートし、学校生活をより良いものにするために重要な役割を担います。
近年はさまざまな背景から、いじめ、不登校、虐待など心に影響を与える問題が深刻化しています。そのような悩みや不安を解決に導くため、幅広い場面で活躍するのがスクールカウンセラーの仕事です。
本記事では、スクールカウンセラーになるために知っておきたい仕事内容と5つの適性、必要な資格とその学び方について解説します。

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スクールカウンセラーとは教育現場で心のケアをする専門家

近年、深刻ないじめや生活スタイルの変化により心の不調を訴える生徒や教師が増加しています。
それらの問題に向き合う「心の専門家」として、国が積極的に任用を推進しているのがスクールカウンセラーという仕事です。
その役割には、対象者の悩みや不安を聞き、問題解決に向けたアドバイスをしたり、安心して学校生活が送れるようサポートしたりと幅広い支援が求められます。
また、スクールカウンセラーは教師と異なる立場から関わることで、より中立的に対象者の話を聞くことができるのが特徴です。
そのため、対象者が安心して自分の悩みや問題を話せるよう、関係性や環境設定にも重きを置いています。
スクールカウンセラーは児童生徒だけではなく保護者や教職員も対象にカウンセリングを行い、相談内容は家庭での問題や職員間の人間関係の悩みなど多岐に渡ります。
スクールカウンセラーになるには?求められる5つの適性

スクールカウンセラーに求められる適性は以下の5つです。
①:コミュニケーション能力がある
②:相手の気持ちに寄り添える
③:論理的な思考ができる
④:正義感がある
⑤:新しい情報への対応力がある
これらの適性は、実務経験や学びを通して身につけることができます。今の自分に適性がないと感じても焦らずに、自分のペースで習得していきましょう。
それでは詳しく解説します。
①:コミュニケーション能力がある
スクールカウンセラーの仕事は、対象者との信頼関係を築くことが非常に大切です。
対象者との1つひとつの対話を大切にし気持ちに寄り添う姿勢は、信頼の基盤を作ります。「この人なら話せる」と心を開いた対象者は心の奥に留めている素直な気持ちを話してくれるでしょう。
また、表情や身振りなど言葉以外のコミュニケーションも重要であり、対象者に安心感を与える要素となります。
②:相手の気持ちに寄り添える
スクールカウンセラーには、対象者の気持ちや状況を理解しようとする姿勢が求められます。
対象者は1人ひとり、悩みや置かれている状況が違います。それぞれの立場や人間関係をふまえた上で相手の気持ちに寄り添い、じっくり話を傾聴しましょう。
スクールカウンセラーに自身が感じた思いや考え方を認めてもらうことで、他者から否定されることへの恐怖心が軽減されるため、徐々に深い悩みや問題を打ち明けられるようになっていきます。
③:論理的な思考ができる
対象者が抱える悩みには、いくつもの問題が絡み合い複雑化しているケースもあるでしょう。
スクールカウンセラーは自身の感情に流されず、対象者の悩みや不安の本質はどこにあるのかを見極める力が必要になります。
対象者本人の複雑な感情や状況を順序立て、論理的に話をすることで、対象者の気持ちが整理できるため、解決に向けて思考を前向きに変えていくことができます。
また、スクールカウンセラーが心理検査やアンケート結果などのデータ分析をする際にも、根拠に基づいて的確な判断をするという論理的な思考が欠かせません。
④:正義感がある
スクールカウンセラーは、対象者が抱える問題に対して正義感をもって支援します。
相談の中には深刻ないじめや、家庭内の問題もあるでしょう。スクールカウンセラーは、問題解決が困難な状況でも偏見や自分の感情に流されず、正義感に基づいた判断が必要となります。
⑤:新しい情報への対応力がある
心理学は常に新しい研究が行われ、日々進化しています。新しい治療法やカウンセリング技術が開発されることにより、これから先も多様な問題に対応できるようになっていくでしょう。
スクールカウンセラーは教育現場の動向に加え、日々進化する心理学の最新知識を学び続ける必要があります。
日常的なスキルアップにより、さらに多様な支援方法を習得し、対象者が抱える問題を解決に導きます。
スクールカウンセラーが担う7つの役割

スクールカウンセラーの役割には、主に以下の7つがあります。
①:カウンセリング
②:コンサルテーション(適切なアドバイス)
③:カンファレンス(各機関との連携・情報共有)
④:研修・講話(心理教育及び知識の提供)
⑤:アセスメント(心理検査を用いた査定)
⑥:予防的対応
⑦:危機対応・危機管理
それぞれ解説します。
①:カウンセリング
カウンセリングはスクールカウンセラーの中心的な業務のひとつです。カウンセリングを通して対象者の悩みや不安を傾聴し、適切な支援へと繋げていきます。
通常のカウンセリングは1対1でじっくりと話を聞く個別面接の形式です。
スクールカウンセラーが必要と判断した場合はグループ面接を実施し、同じ悩みを抱える複数人の生徒とカウンセリングを行います。対象者は互いに支え合いながら問題を解決する経験により、孤独感が軽減され、安心感や仲間意識を感じることができるのです。
②:コンサルテーション(適切なアドバイスをする)
コンサルテーションとは、スクールカウンセラーが対象者の抱える問題点と改善点を明確化し、対象者やその関係者にアドバイスを行うことを指します。
例えば、不登校の生徒から「昼夜逆転の生活により夜眠れない」と訴えがあった場合、スクールカウンセラーは保護者に、生徒の生活リズムを整えるためのアドバイスをします。また、必要な場合は医療機関に受診するよう勧めるという手段も考えられるでしょう。
③:カンファレンス(各機関との連携・情報共有)
カンファレンスとは、スクールカウンセラーを中心に教職員や保護者、他の専門家が協力して、対象者の問題や支援方法について話し合う会議のことです。
例えば、不登校児へのかかわりについてのカンファレンスでは、スクールカウンセラー、担任教師、保護者が集まり、問題解決にむけて相談や協議を行います。
④:研修・講話(心理教育及び知識を提供する)
スクールカウンセラーは、研修や講演を通して心理的な知識や心のケアの方法について、児童生徒、教職員、保護者、地域へ向けて発信します。
中には、学校の特別活動や道徳の授業にスクールカウンセラーが参加する取り組みもあります。このように生徒たちの学校生活に介入する活動により、スクールカウンセラーという存在を身近に感じ、相談しやすい環境を整えているのです。
不安や悩みを感じた対象者に対して、早期にスクールカウンセラーに相談できる環境を設けることにより、鬱や虐待、いじめといった深刻な問題を未然に防ぐことが期待できます。
⑤:アセスメント(心理検査を用いた査定を行う)
スクールカウンセラーはカウンセリングを行ったうえで必要であれば、心理検査により対象者の心理状態や行動を評価します。
医師の資格を持たないスクールカウンセラーは、心理検査の評価が緊急性を伴う場合や、対象者が生活上著しい困難を感じている場合には、精神科を受診するよう勧め、適切な診断や治療を受けられるようにサポートします。
⑥:予防的対応
スクールカウンセラーは、学校関係者に対してストレスチェックなどのスクリーニング調査や、いじめに対しての意識調査を行う場合があります。
生徒や教職員のストレスレベルを定期的に調査し、その結果により個別カウンセリングを提案したり、ストレス管理の講座を開き生徒や教師がストレス管理のスキルを身につける支援をしたりします。
これらの取り組みは、学校生活の中でのストレス症状や問題行動の発現を防ぐための予防的対応です。
⑦:危機対応・危機管理
学校生活の中で災害、事件、事故などの危機的状況が発生したときには、スクールカウンセラーは緊急の危機対応を行わなければなりません。
危機発生時から発生後しばらくは、生徒や教員の心のケアが必要になる場合があります。現場の状況を的確に把握し、心理的支援が必要と判断されるときには、教育委員会や心理の専門家に支援を要請します。
例えば、東日本大震災や熊本地震の際には、全国からスクールカウンセラーが派遣され、心理的支援を提供しました。
普段から緊急危機対応について把握し、いざというときに迅速に動く必要があります。
スクールカウンセラーになるために必要な3つのステップ

スクールカウンセラーになるために必要なステップは3つあります。
①:大学・大学院で心理学について学ぶ
②:必要な資格を取得する
③:求人情報を探す
それぞれ解説します。
①:大学・大学院で心理学について学ぶ
心理学の正しい知識を身につけて相談者の悩みを解決したいと考えているのであれば、大学や大学院に通い、心理学を基礎から学ぶのがおすすめです。
その上で必要な資格を取得し、スクールカウンセラーを目指すのが1つのルートになります。
スクールカウンセラーに必要とされる公認心理師や臨床心理士の資格は、どちらも決められた条件を満たさなければ受験資格を得られません。
どちらの資格においても大学、大学院を卒業またはそれ相当程度の知識や経験が必要になります。そのため、まずは心理学が学べる大学への入学を目指しましょう。
②:必要な資格を取得する
公立、県立学校のスクールカウンセラーになるためには、文部科学省が提示している資格の保有が条件となります。
また、私立学校の場合も公認心理師や臨床心理士、医師等の資格取得者を優遇して採用する傾向にあるため、資格を取得したあと採用試験を受けることが望ましいでしょう。
以下に、文部科学省が求めるスクールカウンセラーの資格要件を紹介します。なお、私立学校はそれぞれ条件が異なりますので、就職を希望する学校の募集要項で確認してください。
スクールカウンセラーとして採用試験を受ける場合、資格要件は以下になります。
- 1. 公認心理師
- 2. 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士
- 3. 精神科医
- 4. 児童生徒の心理に関する高度な専門知識および経験を有し、大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常勤者のみ)、または助教としての職歴を持つ方
- 5. 上記に相当する知識および経験を有すると都道府県や指定都市が認めた方
また、スクールカウンセラーに準ずる者として、以下の条件を満たす方も採用試験の対象になります。
- 1. 大学院修士課程を修了し、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務で1年以上の経験を有する方
- 2. 大学または短期大学を卒業し、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務で5年以上の経験を有する方
- 3. 医師であり、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務で1年以上の経験を有する方
- 4. 上記に相当する知識および経験を有すると都道府県や指定都市が認めた方
この募集要項から、「臨床心理士」「公認心理師」「精神科医」のいずれかの資格を取得するか、相応の知識、または実務経験が必要なことがわかります。
③:求人情報を探す
スクールカウンセラーの求人情報については各自治体の教育委員会または私立学校の公募から見つけられます。
また、求人サイトや教育関連の機関からも求人募集があるので情報はこまめにチェックしましょう。
各教育委員会や私立学校によって試験内容は異なりますが、資格証書などの必要書類を揃えて申し込みを行い、書類選考通過後に面接(場合によっては実技試験)を行います。
採用決定後、公立学校の場合は教育委員会により配置される学校が決められます。
スクールカウンセラーになるには大学に通って知識とスキルを磨くのがおすすめ
本記事では、スクールカウンセラーの仕事内容や適性、学び方について解説しました。
心理学の正しい知識を身につけ、対象者の悩みを解決したいと考えているなら、大学や大学院で心理学を基礎から学ぶのがおすすめです。
東京未来大学では、スクールカウンセラーとして働くために必要な、公認心理師の資格取得を目指すカリキュラムが整っています。
また、大学教員にスクールカウンセラーの経験がある教員が多数在籍しているため、実際の仕事の様子を聞き進路を相談できるという強みがあります。
スクールカウンセラーになりたいと考えているのであれば、ぜひ下記の東京未来大学のWEBサイトをご覧ください。

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